1.はじめに
  ΔΣAD変換は高精度でノイズに強い測定方式で,原理的にチップ化が容易(1bit変換器のため)で,
  CPUに内蔵し易く安価であると言われている。但し,測定速度が遅く,制御用としては用いられず
  低速の計測用として用いられる。
  今回,機器組込み計測用として,マイコン内蔵のΔΣAD変換器を用い,直線性を評価した。

2.ΔΣADコンバータ仕様
  RX21Aマイコン内蔵(ルネサス製)差動4ch,シングル3ch
  RX21Aの差動入力端子の入力電圧範囲は±250mV,(差動で±500mV),シングルで±500mV以下
  マイナス入力を可能にするため,CPU内部にプルアップ抵抗(≒200k)があり,
  差動入力抵抗はP-Nで合わせる必要がある。

3.実験方法及び結果
  (1)測定回路:VRで電圧可変をし,
     差動入力のP側に電圧を印可。
  (2)DMM:PC710(SANWA製)
  (3)DMM測定値とAD変換値をプロット
  (4)最少値と最大値を結ぶ直線との
     誤差を計算しプロットする。
     10mV以上では±0.1%以内の
     直線性誤差であった。
  (5)サンプリングは81.92μsec毎に行い
     4ch分一括測定
  (6)1回の測定は,12bit相当の安定度しか
     無く,下3桁(10進数)は読めない。
     そこでIIRフィルタ(1:999)を付け
     変換値のチラツクbitを測定最少値とした。
     (80μ*1000=80msec程度の時定数)


実験回路


実験結果

4.結論
  (1)24bitAD変換器であるが,12bit程度の精度である。(ソフトのフィルタ必要)
     機器組込み測定用としては安定し実用可能と判断した。
  (2)本マイコンを使用し、同じ処理を実機(交流電源 CVFT1-250HA)に実装し、
     電圧、電流、電力の計測を行った。結果、耐ノイズ性や表示応答に問題は無かった。