当社では、系統連係インバータを設計・製作しております。
ここでは、系統連係に関する用語、およびガイドラインについて解説します
用語
・系統連系
発電設備(分散型発電)の出力を系統(商用ライン)に接続することをいいます。
発電設備の電力でまかなうことができない時は系統から不足分を供給します。
・ 逆潮流
系統連系している設備で発電した電力を系統へ逆流させることです。
あり:発電設備の出力電流が系統に流れ込む。(売電)
なし:系統に電流が流出しないように制御されている。(買電)
・ 解列
発電設備を系統から切り離すことです。
・ 単独運転
系統が停電している状態で、発電設備が単独で電力供給している状態のことです。
・低圧配電線
低圧需要家に電力を供給する低圧の配電線です。
一般的に単相2線式:100V,単相3線式:100/200V,三相3線式:200Vの方式があります。
・高圧配電線
高圧需要家に電力を供給する高圧の配電線です。
一般的には三相3線式:6,600Vの方式です。
・スポットネットワーク受電方式
電力会社の変電所からスポットネットワーク配電線(通常3回線の22kVまたは33kV配電線)
で受電し、各回線に設置された受電変圧器を介して二次側をネットワーク母線で並列接続した
受電方式をいいます。
電気方式は一次側22(33)kV三相3線式,二次側400V系三相4線式と二次側6,600V三相3線式が
あります。
・スポットネットワーク配電線
主に、スポットネットワーク受電方式で受電する需要家に電力を供給する特別高圧
(22kVまたは33kV)の配電線です。
・特別高圧電線路
特別高圧需要家に電力を供給し、7kVを超える特別高圧の電線路です。
ガイドラインについて
・ ガイドライン
国内で発電設備を系統に接続し系統連系を行う場合にガイドラインが示されており、
これに従う必要があります。
このガイドラインは資源エネルギー庁から「系統連系技術要件ガイドライン」として
発行されています。
系統連系した際、系統に悪影響を与えないように各種保護装置の技術要件を示しています。
・連系の区分
(1) 1需要家あたりの電力容量が50kW未満で、低圧配電線と連系することができます。
(2) 2,000kW未満で、高圧配電線と連系することができます。
(3) 10,000kW未満で、スポットネットワーク配電線とスポットネットワーク受電方式
により連系することができます。
(4) 特別高圧の技術要件を満たすと特別高圧電線路と連系することができます。
・低圧連系に必要な技術要件
(1) 電気方式(共通)
原則として、系統へ連系しようとする発電設備の電気方式(単相2線・単相3線・三相3線)
は系統と同じ方式でなければいけません。
(2) 力率(共通)
逆潮流ありの場合、需要家の受電点における力率は85%以上とし、系統側から見て
進み力率(発電設備側から見て遅れ力率)とならないようにします。
逆潮流なしの場合は、95%以上とします。
(3) 高調波
インバータの高調波流出電流を総合電流歪率5%、各次電流歪率3%以下とすることが
望ましいとされます。
(4) 保護協調
発電設備が故障した場合、系統保護の為に下記の保護継電器(保護リレー)を設置します。
[表1_保護継電器(インバータの場合)参照]
(5) 電圧変動
発電設備からの逆潮流により系統電圧が適正値(101V±6V、202V±20V)を逸脱するおそれが
ある時は、自動的に電圧を調整する対策を行う必要があります。
(6) 変圧器(トランス)
系統に直流が流出する事を防ぐために、原則として変圧器を設置します。
ただし、直流回路が非接地である場合または高周波トランスを用いる場合省略することが
できます。
表1_保護継電器(インバータの場合)
保護継電器 種 別 |
標準整定値[整定範囲例] | 整定範囲例 | ||
検出レベル | 検出時間 | 条 件 | 備 考 | |
過電圧 |
115% [110~120%] |
1秒 [0.5~2秒] |
発電設備の発電電圧が 異常に上昇した場合にこれを検出し 遮断する。 |
|
不足電圧 UVR |
80% [80~90%] |
1秒 [0.5~2秒] |
発電設備の発電電圧が 異常に低下した場合にこれを検出し 遮断する |
|
周波数上昇 OFR |
51.0Hz/61.2Hz [50.5~51.5Hz] [60.6~61.8Hz] |
1秒 [0.5~2秒] |
単独運転により、周波数上昇を 生じた場合にこれを検出し 遮断する。 |
逆潮流ありの場合 過渡的な変動で |
周波数低下 UFR |
48.5Hz/58.2Hz [48.5~49.5Hz] [58.2~59.4Hz] |
1秒 [0.5~2秒] |
単独運転により、周波数低下を 生じた場合にこれを検出し 遮断する。 |
|
逆電力 RPR |
インバータ 定格出力の 5%程度 |
0.5秒 | 単独運転により、系統に逆潮流が 発生した場合にこれを検出し 遮断する。 |
逆潮流なしの場合 設置する。 |
単独運転 検出機能 |
低圧連系の場合に準ずる | 単独運転状態となった場合に 検出し遮断する。 |
受動的方式と能動的 方式の組合せにより 検出の確実化を図る。 |
※保護動作が働いた場合、系統解列し、復帰後は一定時間投入禁止となります。