当社は日本電気計器検定所様を始め、大手メーカー並びに大学などの研究機関に「標準器」となるCT,VTを製作納入しております。

 精密計測の普及から現行JIS規格(JIS C 1731-1,-2)の0.2級、0.1級を上回る0.05級、0.02級(いずれも仮称)の要求が間々ありますが、単にCT,VTの確度を上げても、実際は適正な精密計測ができない場合があります。その要因は、CT,VTが持つ「自己損失」(自己消費)によるもので、この損失が測定しようとする線路の負担になってしまうからです。

 一般にCT,VTの確度を上げるには磁性材、巻数・電線径での対応を行ないます。
例えばCTの場合、確度階級を上げるためAT(アンペアターン:電流×巻数)を上げますが、ATを上げると、端子電圧が上昇し自己損失(無負荷損失ともいいます)も大きくなります。
前述のJIS規格には、それぞれの確度階級別に誤差限度幅はありますが、自己損失に関する規制基準はありません。従って被計測線路容量が大きい場合は影響が少ないものの、標準電源やトランスデューサーなど線路容量が小さい場合には、介在するCT,VTが回路負担となり、容量ダウンとなることから真の値を計測することができない場合があります。

精密計測を行なう場合は、確度階級だけでなく自己損失にも注意を払う必要があります。

自己損失の測定方法
 CTの場合

G_keisoku_1

(1)2次コイルを短絡する
(2)K-Lに1次電流を流す(I1)
(3)K-L両端端子電圧を測定する(E1)

  E1×I1 が 0VA時概算の自己損失となります。

 

 

 VTの場合
   一般電源変圧器の無負荷損失試験の場合と同じですが、
   1次電圧が高電圧の場合にはメーターを接地から浮かせる等の注意が必要です。

G_keisoku_2

(1)U-V間に1次電圧を印加する(E1)
  (2次コイルは開放)
(2)この時の励磁電流(I0)を測定する。
  (I0には有効分、無効分がありますが省略します)

  E1×I0 が0VA時概算の自己損失となります