◆概要
標準カタログには掲載しておりませんが、納入実績として下表に特殊な製品を紹介致します。
これら、お客様の要望を聞きながら具現化する技術力が当社にはあります。
◆納入実績一覧表
◆乾式モールド高絶縁型直流CT
1.はじめに
直流電流を測定する手段としてシャント(分流器)があり、当社ではシャント(分流器)を標準品として
販売しています。一方、市販品を見ると、直流電流の測定手段として、ホール素子を用いた貫通型直流
センサーが多くのメーカーから販売されているのですが、これらの製品は外部直流電源が必要であり、
別途+15Vや8V等の電源を用意する必要があります。
今回ご紹介する直流CTは、高電圧直流回路(DC10kVまでの活線)に使用可能な高絶縁形直流CTです。
これも外部電源が必要ですが、商用電源で稼働できるので特別な電源を用意することはありません。p>
2.直流CTの動作原理
一般的なCT(変流器)は交流用で、直流を流すことはできない。※1
これは、磁界の変化がないので誘導起電力が生じない為である。
この直流CTは、外部の交流電源を利用し、直流電流を測定するCTとなっている。
1)【第1図】動作原理図より (A)(B)2つの鉄心に1次側の直流用巻線「N1a」「N1b」を直列結線する。
2)2次側の交流用巻線、巻線N2a、巻線N2bを逆極性にし結線する。
3)磁化力H[A/m]はアンペアの周回路法則から となる。 N=巻数 I=電流 ℓ=鉄心の平均長
ℓ は鉄心の形が変わらないので一定とすれば、H=NIと単純に考える。
今、2次側の交流電圧の変化を、N2・I2とすれば、均衡を保とうと1次側もN1・I1となる。
1次側は直流なので、急峻な磁束変化(矩形波)で、鉄心は飽和し
【第2図】電圧と磁束の変化 (C)の通り電流は矩形波になる。
この波形を整流すれば、2次は直流電流が得られる。
また、負荷抵抗を接続すれば1次電流を電圧に変換し計測できる。
※1:直流電流でもリップル測定等、磁束が鉄心飽和領域でなければ測定可能。
【第1図】 動作原理回路図 【第2図】 電圧と磁束の変化
◆製品仕様(代表値)
名称 | 乾式高絶縁型直流CT |
図番 | CT-BG0142 |
定格1次電流 | DC1A |
定格2次電流 | DC50mA (1:20) |
外部供給電源 | AC100V 50/60Hz |
耐熱クラス | A |
最高電圧 | DC10kV |
耐電圧 | 1)1次巻線と2次巻線間及び取付け金具=AC22kV/1分間、異常なき事 2)2次巻線と取付け金具=AC2kV/1分間、異常なき事 |
外形寸法 | 幅180×奥行145×高さ210 mm |
質 量 | 約6.5kg |
引用文献
日立製作所 日立評論 金井好延氏 磁気飽和型直流変成器 (昭和27年)
東京電機大学出版局 森本和三氏 PT・CT実務必携(昭和55年)